2018/04/15
平成27年の相続税改正により、相続税に関してのニュースも増えたことで相続対策に興味が向っているように感じています。ただ、新聞雑誌等で色々な記事を読んでも、いざ自分の相続対策といっても何から始めていいのかわからないという相談をよく聞きます。これは散発的な記事からの情報では、やらなきゃいけない相続対策とやるとちょっとお得程度の相続対策がごちゃ混ぜでたくさんになっているからです。そこで、やらなきゃいけない相続対策について書いてみます。これについては、相続税がかかる人かからない人に区別はありません。何らかの財産を次世代に相続する予定の方は意識してみてください。
やらなきゃいけない相続対策は、税金は無関係・この2点の整理解消だけ考える!
相続対策というと相続税を節税するための対策と誤解されることが多いです。しかし、相続対策の目的の中心は、財産を相続した次世代がその財産によって不幸にならないこと・困ったりしないことにあります。財産から”不幸の種”や”困りの種”を除いて次世代に渡してあげることがやらなきゃいけない相続対策です。
では、”不幸の種”や”困りの種”はどんな不動産に隠れているのでしょうか?分かり易いものとしては、次の2点があります。
1.現状すでにトラブルを抱えていたり、管理が厄介なもの
→株主同士で揉めている同族会社の株式
→借主とトラブルになっている貸家
→管理が難しい先代の出身地の土地・建物
2.その財産が誰のものなのかはっきりと確定していないため、将来のトラブルが予測させるもの
→隣の住人との境界線があやふやで争いがおこっている土地
→登記の名義を変えるのを先延ばししたまま亡き父名義の土地・建物
→通帳を妻や子供の名義でいくつも作成しているが実際は父の収入が原資になっている預金口座
これらの財産がある場合には、これらに手を打って種を摘み取ったうえで、次世代に引き継がなければいけません。次世代を”より幸せにする”というプラスアルファの相続対策もありますが、まずスタートすべきは、これら次世代を”不幸にはしない”というやらなきゃいけない相続対策です。
やらなきゃいけない相続対策の実施手順
やらなきゃいけない相続対策は、以下のようなポイントの流れで実施します。税理士などの専門家にこの作業のサポートを頼んでみましょう。
① 財産リストの作成
まず、自分の所有している財産をリスト化します。例えば、預金通帳はすべて並べて銀行名・口座番号・残高などを書いていきます。意外と昔作った口座を忘れていたり、イメージしている残高と違う口座があったりと、この作業だけでも得るものがあります。同じように不動産や貸付金、借入金など整理して表にしていきます。
② 所有者のあいまいな財産を整理
①の作業をすすめていると、隣地の所有者とどこが境界か争っている土地や変更登記を先延ばしにしている不動産が浮き上がってきます。それについては、この作業をサポートしている専門家に解決法を考えてもらい、一つずつ整理してもらいましょう。隣地の住人と話し合いを頼んだり、変更登記をするための書類や親族との話し合いを頼んだり、手間はかかりますが、次世代に渡す前にやらなきゃいけない相続対策です。
③ トラブル抱えた財産の解決
さらに実際にトラブルを抱えている財産についても、先延ばしにせず、これを機に解決を図ります。トラブルや管理の大変さを抱えている財産をエイヤっとここで売却してしまうのも「損して得とれ」の発想でありだと思います。
※注意点
②・③の実施段階については、税理士だけでは解決図れない課題がほとんどです。ほかの専門家を紹介してもらったりして各分野の得意なところを集めて一歩一歩、整理解決をしてもらうべきです。