2018/04/15
2017年4月からは10%となる予定の消費税。ますます負担は大きくなります。逆に考えると、消費税が節税できれば、事業の資金繰りに更に大きな影響力を持つようになりますので何かできないか?考えてもらうべきです。ここでは、現在の経理処理の仕方を少し変更することで可能になる消費税の節税策を書いてみます。もし該当する経理処理があれば検討してもらいましょう。
消費税の課税事業者・免税事業者とは
原則的には、全ての人が消費税を納める義務のある者(課税事業者)ですが、例外的に、この義務が免除される者(免税事業者)がいます。免税事業者となれば、例えば550万円(消費税10%込)の売り上げをお客さんからもらっていても、消費税分50万円を納税しなくてもよくなります。
免税事業者となるための要件は、以下の通りです(国税庁HP)。
消費税では、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、納税の義務が免除されます。
この納税の義務が免除される事業者(以下「免税事業者」といいます。)となるか否かを判定する基準期間における課税売上高とは、個人事業者の場合は原則として前々年の課税売上高のことをいい、法人の場合は原則として前々事業年度の課税売上高のことをいいます。
この仕組みを使って、つまり免税事業者に該当するように課税売上高が1,000万円以下となるように、日々の会計処理の仕方を変更することで消費税をゼロにするのです。
現状この2つの経理処理があるなら変更する
消費税の節税につながる経理処理の変更の対象になる取引には、主に次の2つがあります。
①お客様から代金を受領し、そのまま仕入先等に支払う金額がある取引
委託事業・旅行業などでは、頻繁にみられる取引です。委託販売をする場合に、お客様から売上の代金を受領したら販売手数料という利益はもらい、それ以外の部分をそのまま委託元に支払います。旅行業でも、お客様から旅行代金を受領したら旅行手配の手数料という利益はもらい、それ以外の部分をホテルやバス会社に支払います。
この取引で、現状の経理処理が以下のようなものであれば、その会計処理に変更を加えます。
現状:お客様から受領した代金はすべて売上/委託元に支払う金額はすべて仕入
変更:お客様から受領した代金のうち販売手数料の部分のみ売上/お客様から受領し委託元に支払う部分の金額はすべて預り金
この経理処理の変更をすることで、課税売上高は「受領した代金すべて」から「販売手数料の部分のみ」に変わるので、大きく減らすことが出来るのです。このような取引のある事業者しかできない方法ですが、もし可能であるならば効果は大きいものです。 ただし、注意点として必ず預り金として精算できなければいけません。当然、こちらで形だけ売上と預り金に分けてというのは許されません。
②売上金をお客様から振り込んでもらい、その際に振込手数料が銀行にとられる取引
大半の事業者で見られる取引でしょう。振込手数料が先方ではなく当方負担となっていれば、例えば5000円の売上請求書を送り、口座振込でもらって、その際420円の手数料を差し引かれ、会社の口座には4580円の入金がされます。
この取引で、現状の経理処理が以下のようなものであれば、その会計処理に変更を加えます。
現状:売上の請求書の金額を売上/差し引かれた振込手数料は経費
変更:売上の請求書の金額を売上/差し引かれた振込手数料は売上のマイナス
この会計処理を変更することで、課税売上高は例で言えば「5000円」から「5000円-420円=4580円」に変わります。1年間のこの取引の変更を積み上げると課税売上高の大きな減額につながります。
この2つの変更をしたら、課税売上高が1000万円以下にならないか?まずは、現状の帳簿からこの2つの取引を抽出してみて計算してもらいましょう。
検証の計算してもらう際の注意点
税理士に検証してもらう際、現在の事業の内容を改めて詳細に説明しましょう。一見、委託事業のようなものではなくても、事業の内容を吟味すれば、仕入先とお客様との取引や契約形態事態を現状と少し変更すれば該当する余地を見つけられるかもしれません。
消費税は、赤字の事業でも毎年かかり、かつ今後増税がなされるという事業者にとって気がかりな税金です。なにか圧縮する方法がないか?検討してもらいましょう。
賃貸不動産の贈与による消費税の節税については、こちら!