2018/04/15
土地や建物などの不動産を売却すると、翌年3月に確定申告と納税が必要となります。売却前にあらかじめ売却にかかる税金をキチッと計算しておかないと、ざっくり税金分として別の口座にとっておいた金額より納税額が大きくなって金策に苦しんだり、逆に実際はそんなにかからず、先に分かっていたら有効に使えたのに!ということが起こります。また、売却の検討段階でも税金を事前に計算することには他にもメリットがあります。そのあたりを書いてみました。
不動産売却にかかる税金とは
不動産の売却には、譲渡所得税・住民税がかかります。以下の通り、計算します。
① 譲渡価格-(取得費+売却費用)=譲渡所得
② 譲渡所得-特別控除額=課税される譲渡所得
③ 課税される譲渡所得×税率=売却にかかる税金
税率は、その不動産を取得した日から売却した年の1月1日までの期間が5年以内の場合は、約40%(所得税31%住民税9%)、それ以上の場合は約20%(所得税15%住民税5%)です。そして、売却した翌年3月に所得税を、住民税は6月から分割で納税することになります。
できるだけ先に税金を計算するメリット
売却を考えている方は、できるだけ早くに税金を計算してもらいましょう。売却検討の段階では、上記計算の中で「譲渡価格」「売却費用」は見積での計算になりますが、それでも十分、以下のメリットを享受できます。
1.売却後のお金の計画がきっちり組める
ポイントとなるのが、計算のなかの「取得費」と「特別控除額」です。
「取得費」とは、一般的には不動産を購入した金額をいいますが、購入したときに買換え特例という制度を利用していれば「取得費」は購入した金額より、かなり少額になります。ここを読み違えた結果、予定している以上に高額な税金がかかることを売却してから知るということがあります。
「特別控除額」とは、一定の要件を満たすものについて、税額が安くなる制度で、例えば「居住用財産の譲渡による3千万円の特別控除」などがあります。これら特例が適用できることを事前に知らないと、実際の税金以上に売却金額を残しておくことになり折角の使途が制限されてしまいます。
「この売却にかかる税金は○○円なので、売却翌年にそれだけ残しておけば大丈夫。」という説明を税理士事務所から受けておきましょう。
2.売却したときの税金を安くできる
さらに、メリットといえるのが、事前に税理士に相談することで特別控除の特例を有効に使うチャンスが広がる点にあります。
例えば、夫婦で住んでいる自宅を将来的には売却しようと考えていた場合。現状では土地も建物も夫の名義であったなら、事前に夫婦間で土地・建物を一部贈与して妻も名義にいれておきます。そうすると、将来の売却時には「居住用財産の譲渡による3千万円の特別控除」は、夫婦2名ともが適用され最大6千万円(3千万円×2名)の特別控除にでき、売却にかかる税金を大幅に圧縮することができます。
ほかにも売却直前や売却後では、できない節税も多いです。検討段階で早めに相談しましょう。
♦♦事務所では・・♦♦
いくら先の検討事項でも、お聞かせください。事前に税額を示して説明したり、節税スキームをご提案するためには、税金の知識は当然のこと、譲渡価格や売却費用の見積もりなどの不動産取引の知識や経験が必要です。不動産業者の方と連携しながら、よりよい情報提供に努めます。
≡編集後記≡
今日も9時から開業準備。