2018/04/15
アパートやマンション・貸家や駐車場など、複数の賃貸物件がある不動産オーナーの方の中には、ちゃんと時間を使って帳簿は付けているのにどの物件が儲かっているのか?よく分からないという方が結構いらっしゃいます。そこをすっきり整理し理解しておくことは、不動産オーナーには必須と言えるほど大きなメリットがあります。このあたりのこと書いてみます。
物件ごとに把握できていないのはなぜ?
ちゃんと帳簿を付けているのに、なぜ物件ごとでいくら儲かっているのかわからないのか。理由があります。国税庁HPの不動産オーナーの確定申告書の例を見てみます。
申告書に添付する青色決算書です。帳簿をきちんとつけた結果できる決算書です。
これを見ると、家賃収入が1,495万円・もうけはそこから経費1,200万円をマイナスした294万円です。これで、いくら儲かっているかわかるような気がします。しかし、決算書の2ページ目を見てみると・・・
1ページ目の家賃収入1,495万円は、貸家・アパート2棟・貸地の合計だったのです。決算書から読み取れるのは、4物件の全体での成績と物件ごとの家賃収入の金額だけです。物件ごとに経費がいくらなのかは読み取れないので、物件ごとのもうけもわかりません。
この「国税太郎さん」のように複数の賃貸物件を持っている人は、いくら帳簿を頑張って作っていても申告書や決算書を税理士に頼むだけでは、どの物件が儲かっているのか?いないのか?は知ることができないのです。「帳簿作成→確定申告」を頼むだけでなく、もうひと手間を頼む必要があります。
いつも物件ごとに把握しておくメリット
物件ごとに分けるとこんな風に「見える化」できる
物件ごとに儲けを把握するというのは、こんな感じです。毎年の確定申告書と一緒にこんな資料を整理してもらいます。
アパート3棟・駐車場2つ・貸地と物件ごとに儲けが一目瞭然です。さきほどの青色決算書の1ページ目を物件ごとに輪切りにしたようなイメージです。最後の行を見てください。これが1年間の手取り収入です。アパートCが良いですね!
物件ごとに分ける方法
では、こんな物件ごとの資料を作成するにはどうしたらよいのか?色々な方法があると思いますが、私の事務所ではお客様に出来る範囲で経費にもどの物件にかかったものなのかを帳簿に記録してもらっています。
少々手間は増えますが、1度物件ごとに整理した資料を見ると、この資料を作るためには・・と作成してくれています。
物件ごとに把握すると沢山メリット
この物件ごとの儲けが把握できていると色々なメリットがあります。思いつくところ挙げてみます
・物件の収益性の差を根拠のある数字で確認することが出来る
・売却などを考える際には、この物件の優劣を基準にできる
・修繕などを考える際にも、どこの物件から始めるかなど判断基準に使える
・相続を考える場合に、単純に家賃収入の規模ではなく、実際の手取り収入を基準に分けることが出来る
把握する仕組みを作ってもらう
この物件ごとの儲けの把握は、1度きりではなく継続的に毎年分かるようにしておくべきです。借入金の返済が終わって手取り収入は一気に変わったり、ジワジワ修繕費用が増えて収益性が減っていたりと変化を掴むことができます。
一般企業では、事業部ごとに成績を出し管理しながら、無駄な事業には経費を押さえたり事業自体を止めたり、それで浮いたお金を好調な事業に振り分けたりと、細かい運営をするのが普通です。
それと同じように不動産オーナーも、毎年の確定申告の際に、今まで通りの申告書と決算書に加えて、物件ごとの収支資料も手に入れて賃貸事業の参考にしましょう。今後の不動産経営にとってこれ以上ない手助けになるはずです。
さらに、その物件が将来どのように推移していくのか?のシミュレーションについては、こちら!