2018/04/15
相続税の納税の際、亡くなった方と財産を相続する方の持っている預貯金だけでは足りずに、相続する土地の一部を売却する場合が多くあります。相続税は、亡くなった日から10カ月以内に納めなければいけないので、土地の売却手続きはどうしてもバタバタします。生前に土地の一部を売却することが分かっているなら、できることはやっておくべきです。そのあたりのこと書いてみます。
生前にできる売却準備
売却が間に合わないとどうなるか
相続税は、亡くなった日から10ヶ月以内が納付期限です。土地を売却して払おうと思っていたが間に合わない場合には、2つの方法があります。1つは、相続税の納付期限の延長を税務署に頼んで売却できたら相続税を払う方法。2つめは、銀行から借りて相続税を納め、売却ができたら銀行に返済する方法です。
どちらも税務署や銀行に利息を払う必要が出てきます。土地を売却して払おうという相続税ですので、負担することになる利息も高額です。
売却が間に合わないケースとしては、こんなものがあります。
・売却対象地が隣の人との境界線について揉めて時間がかかった
・売却対象地が生産緑地で売却までの手続きに時間がかかった
・売却対象地について遺産分割で揉めてしまい時間がかかった
・売却対象地に良い買い手がなかなか見つからず時間がかかった
・売却対象地に遺跡が埋まっている可能性が出てきて調査に時間がかかった etc
生前にできる売却準備リスト
売却が間に合わない!という事態を出来る限り避けるため、売却対象地が決まっている場合に、生前のうちにできる売却準備にはこのようなものがあります。
・隣の人との境界確定
→相続がはじまってから時間的余裕のないなかで話し合うことは大変難しくなります。生前に余裕を持ってコミュニケーションを図ることで不明確だった境界がお互い納得ずくで確定できます。
・確定測量
→境界が確定したら確定測量も済ませてしまいます。将来売却する際に結局することなので、事前に完了しておきます。
・物件調査・売却見込額の算定
→売却が可能な物件か?売却したらどの程度の金額か?事前に具体的に不動産の専門家に調査してもらいます。
・売却対象地だけでも遺言による生前分割
→売却対象地の分割協議が相続時にまとまらないと売却ができなくなりますので、生前にこの不動産だけでも遺言を作成します。
売却準備をしておくメリット
以上のような売却準備を生前に済ませておくメリットとしては、次のようなものがあります。
1.売却時のトラブルを事前に解決できる
1つでもトラブルが起きれば、すぐに10ヶ月後の相続発生に間に合わないという事態になり得ます。出来る限り事前にトラブルの目を摘んで解決しておくことで、相続のときには遺族がスムーズに売却手続きを進めることができます。
2.相続税も節税になる
もう1つのメリットは、売却の事前準備自体が相続税の節税に繋がるという点です。
例えば、相続後に売却対象地の測量代や調査費で200万円を相続した遺産から出した場合と生前に測量や調査を済ませておいた場合で相続税はこう変わります。
生前に準備をすると、相続税が60万円節税になるのです。
まずは相続税の試算もとに売却対象地を決める
このように事前の売却準備はぜひ進めておくべき対策です。相続税の試算をしたうえで、売却対象地を選定し、その対象地で納税資金が足りるのか?検討し、さらに生前に出来る測量などの売却準備を行っていきます。
トラブルを抱えた土地でも、相続までの時間的余裕があれば解消することが可能になります。税理士や測量士、不動産業者など、各専門家にサポートを頼んでみましょう。