2018/04/15
はじめてお客様の決算書を見せてもらった時に、数千万単位の「役員借入金」が記載されていて、どきっとすることがあります。そのままにしておくと、思いもよらない税金がとられるリスクが潜んでいます。そのリスクとシンプルな解消方法を書いてみました。
なぜ役員借入金が多いのか
役員借入金とは、会社が社長に借りたお金。社長が会社に貸しているお金です。社長にとっては、会社は自分の分身、借り貸しに頓着せず返してもらうつもりもないこともあり、決算書の中でもあまり意識されない科目です。
役員借入金が多くなるのは、起業してしばらくの間や会社の業績が悪化したときに、社長が個人の預金を会社の事業を続けていくために会社の口座に移した場合です。特に、数年前のリーマンショックで、一時的に業績が急速に悪化した会社には、その時期、社長がなんとか会社を立て直そうと個人的な貯金を使った遺産として決算書に残っているケースが多いです。
役員借入金が残ったまま相続となると大変
役員借入金の大きなリスクは、そのままにしておいて社長が亡くなった時のいざ相続税を支払うときに発生します。
相続税は、「亡くなった人が、亡くなるその瞬間に保有していた全ての財産を基準にその財産を相続した人に課税される税金」です。そして、役員借入金は社長が会社に貸したお金として、この財産に加えられてしまいます。 持っている家や個人口座はこのくらいだから、相続税は心配ないな・・と思っていたのに、思いのほか高い相続税となってしまうのです。
役員借入金を解消する簡単な3つの対策
一括して返済する余裕が会社にあればいいのですが、そういう訳にもいかないときに使える、シンプルな方法を3つ書きます。
①毎月少しずつ会社から社長に返済してもらい、その分だけ役員報酬を減額する。
②社長から会社に返済しなくていいよと債務の免除をする。
③社長が会社に対する返済してもらえる権利を子供に贈与する。
多額の役員借入金であれば、一気に解消することは不可能です。そのときの会社や社長個人の状況などでどの方法を使うと良いかは違ってきますので、上手く組み合わせながら、スケジュールを組んで役員借入金を解消するアドバイスをもらうべきです。