2018/04/15
不動産オーナーの所得税の確定申告書を作成していると、貸家やアパートの住人の中にオーナーと同じ苗字の方が見られる場合が結構あります。外で借りるよりはいいと他の住人と同程度の家賃で住んでいたり、家族だからとタダだったりと色々です。この「タダ」にする場合に気を付けてほしいポイントがありますので書いてみます。
所得税と相続税が変わる
この家賃を「受け取る」か「タダにする」かによって、金額が変わってくる税金は毎年の所得税と将来の相続税です。シンプルにどんな影響かというと以下のような感じです。
家賃を受け取ると、収入がその分増えますので所得税は上がります。他方タダにすると、収入はその分増えませんので所得税は下がります。
相続税は、家賃を受け取ると下がり、タダにすると上がる傾向があります。これは、家賃を受け取っている場合には土地・建物は貸しているという制限が付いた不動産として相続税の計算上の評価額が減額される一方で、タダの場合には貸していないものと同じように扱われ減額されないからです。
例えば、5千万円の貸家の土地と3千万円の貸家の建物があった場合に、家賃を「受け取る」「タダにする」でこんな風に評価額に差が出てきます。相続税は、この評価額の合計に税率を掛けて計算しますので、仮に30%の税率だとすると540万円「タダにする」ことで相続税が高くなるのです。
相続税がかかる人は注意!
このような影響があるので、家賃を受け取るのか・タダにするのかを考える際には、自分にもしもがあったら相続税はかかるのか?かかる税率は何%か?の相続税の試算をしなければいけません。
この相続税の試算をしてみて、相続税がかかるほどには資産がないことが分かれば、もう相続税のことを考える必要はありませんので、とにかく所得税を安くしたいと考えるならば、家賃を受け取らない選択が良いですし、当然、所得税が高くても他の住人と同じ家賃をもらう!という選択もあります。
税金の影響を加味しつつ、チョイスする
家族や親族から家賃を「受け取る」か「タダにする」かは、住む人のお財布事情やもろもろ税金の多い少ないだけで決めれるものではないでしょう。ただ、どっちにするかの判断要素の中に税金のことも含めて検討すると、より良いチョイスができます。判断要素の資料の1つとして税金への影響額を計算してもらいましょう。